2020年11月上旬。
わたしは産後3週間の産褥期真っ只中で思った。
「お酒が飲みたいッッッ!!!」
十月十日、そこから母乳期間(人によっては1年間)が終わるまで母親は断酒せざるを得ないのである。
長期間の断酒と疲労、そして美味そうにテレビでレモンサワーを飲んでた芸能人に対する嫉妬がわたしを突き動かした。
「美味しいレモンサワーが飲みたいッッッ!!」
わたしはこの想いを成就させるべく、わたしはわたしの為に、自家製レモンサワーの素を作り、産後初めての1杯を最高のものにすることにした。
さっそく、Googleで作り方を検索。
キンミヤ・オレンジリキュール・レモンが基本のレモンサワーの素の素材ということがわかった。
レモンの独特な苦味やえぐみが出ないように、果肉ギリギリまで白い皮を剥いてスライスし瓶の中に入れ、その中にキンミヤとオレンジリキュールをセンス良くいれる、というのがわたしがざっくりリサーチでわかった作り方だ。
作り方がわかったので、まずはレモンの準備だ。
皮を剥くので外国産のレモンでもいいが、「産後初の最高1杯」にはふさわしくないッ!
メルカリで瀬戸内海産無農薬レモンを購入し使うことにした。
メルカリで購入したレモンが思いのほか多かったので、スタンダードバージョンとは別に皮ごとレモンをスライスして梅酒作りであまった氷砂糖をいれるパターンも作ることにした。
それとは別にメルカリでの農家の方から直接野菜や果物を買えるのは驚いた。
農家の方の応援するためにも、今後もメルカリでの野菜の購入をしていきたい。
あとはキンミヤだ。
わたしが住んでいる地域では、芋焼酎以外の焼酎はスーパーでは滅多にお目にかかれない関東キンミヤ勢には想像しがたい状況である。
無駄にスーパーを探し回らず、すぐさまAmazonにてキンミヤ焼酎と、ついでにコアントロー(オレンジリキュール)を取り寄せた。
準備は整った。
晴れた日の平日の午後、息子にミルクを飲ませ、寝かしつけたあと満を期してレモンサワーの素作りを開始。
テンション高く作り始めたが、時期は産褥期。
ボロボロの体を酷使して長時間台所で作業を行うのは無理があるので、リビングのちゃぶ台で作業を行った。
痛い。
痛すぎるッ!!
衰弱し、ひび割れた固形石鹸みたいにボロボロになっているわたしの指には、この新鮮なレモン果汁は刺激が強すぎた。
何度作ろうと思った自分を恨んだことか。
何度も何度もめげそうになる自分を奮い立たせて、作り終わったあと達成感、息子の泣き声で告げられる自分の時間の終わりの合図。
第三子を授かった際は「もう絶対に作らない」と強く思ったのだった。
キンミヤとコアントローを入れる段階になり、ふと不安になる。
約1年、お酒を絶っているわたしがキンミヤとコアントローをセンスの良い割合で入れることが可能なのか。
「「「センスとは??」」」
自分のざっくりリサーチに追い詰められたが、これは自分で飲むものだ。
迷ったら「7:3」。これでいいのだ。
見ればわかるだろうが、わたしは皮付きの方にすっかり氷砂糖を入れ忘れている。
こんなこともあるさ。
1ヶ月半後、ほんの少し味見したら「えぐみ・苦味・渋み」というレモンの大人ワイルドなところが凝縮し、全く飲めたものではなかった。
とりあえず、3ヶ月寝かせないとこの大人ワイルドな味の角が取れないと再リサーチの結果わかったので皮付きの方には氷砂糖をいれ、目につかないところに置いておくことにした。
どうせ忘れた頃に美味しくなるなら、忘れてしまえばいい。
‥
‥‥‥
そして、時は流れ2021年10月。
約1年の時を経て、わたしはレモンサワーの素を開封した。
ほんのり白濁してただけだったレモンサワーの素が琥珀色になっているではないか。
緑のレモンを使ったのに皮付きの方が色濃くなってるのは不思議だ。
肝心のお味は、、、スバラシイ!!!
強く鼻に抜けるレモンの香り。
市販品とは明らかに格の違いを見せつける、ほどよい苦味とえぐみ。
オレンジリキュールを入れたことにより、レモンだけで味を持っていこうとしてないので、キンミヤとのバランスがよく取れており、お酒が強くないわたしでも美味いとわかるレモンサワーになった。
産後の初めての1杯はシャンパンで済ませ、毎日ハイボールを楽しむ悠々アルコールライフを送っていたので、正直作った時のような気持ちで開封して飲んだわけではないのだが、すごく嬉しい気持ちになれた。
寝かせる期間があるし、大変なので定期的に作ろうとは思わないけどお酒好きで色々試したい人は作ってみていいかもしれないと思う。
なぜ、ハイボール党のわたしがここまで執着してレモンサワーの素を作ったのか。
振り返ってみると全くわかりません。
人の衝動というのはとても恐ろしいと思いました。
飲み比べしてみてね
今回、レモンサワーの素を作る際IKEAの保存瓶を利用したのですが、パッキンがたった1年で劣化して中身が蒸発したのか、出来上がり量が減ってしまいました。
作る際は梅酒つくるような保存瓶でやることをおすすめします。
仕上がり量によって保存瓶のサイズを変えてくださいね。
わたしは1.5Lの瓶でつくりました。
余ったら飲めばいいので気楽に作ってみてください。